介護の現場が苦労する理由の大きな一つが介護システム(アプリケーション)が立ち遅れていることにあります。他職種のシステムに比べ10年は遅い。特に大手介護システム会社が『サーバ販売とセット』などの旧来型のビジネス構造を変え切れていないことが現場の足を引っ張っています。
2019年に弊社は、2年がかりで介護システム十数社を比較検討したうえで『カイポケ』に変更しました。その経緯・考え方をご紹介します。
その後のカイポケ以外の各社の仕様変更などで、記事の内容とズレが出ている場合があります。各社の状況は必ずご確認ください。
周辺サービスで収益を出すビジネスモデルなので、システム基本利用料が安い
『カイポケ』は利用料月額が3.5万円です(訪問介護【介保&障害】+ケアマネ+福祉用具)。ユーザー数(職員数)や利用者数で割増はありません。
ほのぼのなどスタンドアロン型だと、基本月額が5~6万円で10ユーザー程度で+3万円程度でした。スタンドアロン系は個別見積ですので、もっと安い契約/高い契約があります。導入時の代理店次第です。
カイポケはクラウドだから安いのもありますが、それだけでなく、“周辺(付加)サービスで収益をとる”考え方になっているのも安さの要因です。(最近のクラウドサービスに多いビジネスモデルです)
(主な有料の付加サービス)
スマホ・タブレット契約 / 口座振替 / 給与振込 / 車両・コピー機の販売 / ケアマネージャー求人 / 文具などの販売
もちろん、付加サービスを使う義務は生じません。いいと思ったもののみ使えばOKです。
他事業所のシステムを問わない、提供票・計画のシステムメール送信機能が無料で
カイポケの決め手となった最大のものがこれかもしれません。
「ケア連携」機能です。名前ではどんなメニューかわかりませんが簡単に言いますと『システム上から、他社のメアドあてに、提供票・計画等を送信する』機能です。受け手には、ダウンロードリンクが送られます。
同システム同士のデータ連携は他社でもありますが、こちらはメアドさえあればOKなので、他社システムがカイポケである必要はありません。非常に優れモノです。
弊社では、提供票送付事務・サービス計画送付事務が激減し、ケアマネージャーが皆、感激しました。(もちろん経営者の私もホクホクです)
詳細はコチラの記事もご参照ください。(サイト内リンク)
「カイポケ・ケア連携で効率化できるケアマネジャーの事務」
『ケアマネージャーICT化』セミナー資料全ページ掲載|メルマガ読者限定
シンプルで無料の、スマホ現場記録機能
これも特にヘルパー業務にとっては大きかった、システム選択の決め手となった部分です。現場記録は各社リリースしていますが、弊社は最終的にはケアウイングさんが残り、その比較でカイポケ訪問記録にしました。
チェックポイント | カイポケ訪問記録 | ケアウイング |
---|---|---|
使用料 | 無料 (基本料に含む) | 月額5万円程度 |
現場に入ったことの確認 | GPS | 専用タグ |
請求との連動 | 一体的 (開始終了時に自動反映) | 他社システムと連携必要 (反映操作が必要) |
使い勝手 | 簡易的 (特定加算用”指示””報告”に対応) | 非常に高機能 (現場ごとのメニュー変更など) |
ケアウイングさんも非常に高機能で魅力的です。5万円払う価値はあるとは思いました。が、高機能すぎて(ICT能力の兼ね合いで)現場は安定的に使いこなせないであろうという点と、そもそも事務半減の厚労省方針などから記録業務にそこまで高機能である必要が無いと判断しました。
また、業務の改善・効率化という視点でも
・GPSの方が業務が少ない(ケアウイングの場合は『タグの設置』が必要)
・請求システムとのリアルタイム連動は、サ責にとって重要
などの点でカイポケの方が優れていると感じました。操作感はもうちょっと改善してほしい部分もありますが、簡易的に必要十分な機能のみ備えたという点が、非常に絶妙と感じます。
付加サービスで拡張性高く、金額も専門業者より安い場合が多い
カイポケの有料の付加サービスは前述のとおり各種あります。弊社は『口座振替』を使用しています。カイポケはこの有料サービスも割安に設定されています。(件数など条件次第では他社も同等料金の場合あります)
弊社比較 (2019年当時) | カイポケ口座振替 | 某社口座振替 |
---|---|---|
月額固定使用料 | 無し (システム基本料) | 約4千円 |
振替件数当たり料金 | 90円 | 100円 |
ちなみに口座振替が一つのシステム内で完結するのは、非常にラクなうえに、未収金管理とも連動するので業務の改善効果も非常に高くなります。(覚えるシステムが減るのもいいですね)
(弊社業務改善セミナー資料より)
また、無料で用意されているサービスも、専門業者の有料サービスよりは劣る場合が多いものの、十分な使い勝手になっており、中小事業所ではむしろ使いやすい有料のレベルのものも多く、
(主な無料サービス)
給与計算(簡易) / 勤怠記録(タイムカード)機能 / 介護員求人 / 訪問記録(スマホ現場記録) / ケアマネ書類WEB送信機能
最初から「クラウドが前提」のシステムであること
弊社はもともと『ほのぼの』を利用しておりましたが、システム設計レベルでの将来性不安、クラウド対応(特にスマホ・タブレットユーザビリティ)への遅れ、が目立ってきたため2018年頃から情報収集し2019年秋に『カイポケ』に乗り換えました。
多くの介護ソフトはスタンドアロン型(社内にサーバPCをおいてそこにソフトをインストールする形態)から始まっており、クラウド化に消極的で、例えクラウド化してもインターフェースやシステム上のフローが旧態依然のままです。
☆スタンドアロン系のよくある症状
- 設計がSQLなどDBとインターフェースに分ける構造になっていない
- タブ分け(画面遷移)が前提で、スクロールを避ける画面
- 一括で全利用者の月間全データを集計するなど、負荷が集中するフロー
そんな中、『カイポケ』がクラウド前提で作っている点は、見えない従業員の手間を減らすことになります。もちろん、介護システムの中では優位というだけで、他業界の一般システムレベルではありませんので向上の余地はあります。
カイポケクラウドでも、例えばコロナの緊急事態宣言の伝送時期はサーバが重くなりアクセス制限が生じました。負荷を分散させる考え方を取り入れても、限界はあります。ただ、それ以外のシステムで「分散させる設計になっていない」場合、クラウドになるとカイポケよりもっと酷いことになりえます。
無料試用が可能
これはクラウドシステムならどこもそうかもしれません。スタンドアロン型ですと、営業が来て、その日のみの試用となりやすいですが、クラウドですと大概、試用のID&PWが付与され、時間を選ばず試用できます。
ちなみにご紹介キャンペーンもあります。弊社経由で営業に伝えれば、少々有利になる可能性がありますので、もしこの記事を読んで試用したい方は、お気軽にご一報ください。(下記メールフォームでご連絡ください)
小林知久 / Kobayahasi Tomohisa
株式会社イコール代表取締役。早稲田大学卒業後、24歳の時に母親の創業に加わり設立事務を担当。その後、地元市議会議員を8年、NPO法人の設立運営、デザイン会社の設立運営、青年会議所でのイベント運営・災害支援・東京都会長などに携わる。2016年より代表取締役。組織マネジメント、ICTと運営効率化、行政・法務など、実学を中心に実践しながら研究。2007年に始めたwordpressの試行錯誤が趣味。詳細プロフィールはコチラ